12月20日開催_MLC勉強会のメモ
2021.12.21
2021年12月20日、AASJ 西川伸一先生に「MLC勉強会」を実施いただきました。
◆NPO法人 オールアバウトサイエンスジャパン
You tube「皮質下嚢胞を伴う大頭型白質脳症(MLC)についての最新の総説を学ぶ」
◆勉強会内容
※管理人は医療従事者ではないため、理解に誤りがある可能性がございますが、ご了承ください。
勉強会で読んだ論文①
勉強会で読んだ論文②
・MLC1についての論文数は360程度。コンスタントには研究されてはいるが、論文数は少ない
・MLC 遺伝子変異 2タイプ
①MLC1 進行性
②GlialCAM(MLC2A、MLC2B) 2Bは途中で正常化する、脳内にできていた嚢胞が元に戻る
・脳には、灰白質(かいはくしつ)と白質がある
灰白質 ニューロン(神経細胞)の細胞体が集まる
白質 神経細胞の連絡路(軸索)、神経線維
・MLC
神経経路の流れをよくするための「ミエリン」そのものの周りに水胞ができてくる、水がたまる
ミエリンそのものは大丈夫であり、その点については他の「白質疾患」とは異なる
・「嚢胞性繊維症」に似ているのではないか(全く異なる点もある)
嚢胞性繊維症は塩素イオンを出し入れするためのクロライドチャンネルの不具合の病気
遺伝子治療薬、細胞内の水の出入り・細胞の膜の中を動かす薬等がある。
・アストロサイト疾患
白質消失病、アレキサンダー病等、MLC外のアストロサイト疾患は、アストロサイトに異常が発生してオリゴデンドロサイトにも影響が出てきて、ミエリンが作られなくなる。MLCは水が溜まってきて白質に異常があるものの、ミエリンもオリゴデンドロサイトも正常
・MLC1はアストロサイト、その細胞膜に発現する、かなりユニークなたんぱく質
「細胞生物学」「細胞の中で分子が何してるか」を調べている研究グループがある
・なぜミエリン周りに水が溜まるのか
MLC1自体に「水・イオンを出し入れする役目」があるわけではなく、水を出し入れするチャンネルに影響を及ぼしてしまっているのではないかと考えられている。細胞内でつくられたものが細胞膜に送られないのか、そもそも作られていないのか、他のチャンネル分子と一緒に働くのかもしれない
・アストロサイトは、神経と同時に血管にも足を延ばしている
ミエリンを作るオリゴデンドロサイトの機能が働かなくなり、水が溜まる。MLC1はオリゴデンドロサイトにはあまり発現しない
簡単にまとめると「アストロサイトの水・イオンの出し入れがうまくいかなくなり、オリゴデンドロサイトにも影響して異常がおこる」
・GlialCAMとMLC1は同じような場所に局在している
・MLC1はGlialCAMとClC-2の相互作用をつなぐような役目をしているのでは?
・遺伝子治療について
マウスにMLC1のAAVベクター治療を行うと水胞がなくなる。特に、小脳部分に注入すると強い発現が起こる(治療される)
・遺伝子変異について
MLC1はnull変異ではなくて、すべてミスセンス変異によるもの。日本人はすべてコモンバリアント(S93L)
・ライソゾーム、エンドソームにトラップされ、それがアポトーシスを起こしている可能性がある
臨床的にも感受進行性ではなくて、ストレス(発熱等)があった時に階段状に悪くなる。代謝が上がり、閾値を超えてアポトーシスを起こすのでは
ーーメモ
・PubMed 生命科学や生物医学に関する参考文献や要約を掲載するMEDLINEなどへの無料検索エンジン
・2021年ノーベル医学・生理学賞受賞研究「温度・触覚の受容体」のひとつであるTRP(トリップ)チャネル。
・アポトーシス…あらかじめ予定されている細胞の死